P.135……超人サイバー
「週刊少年マガジン」講談社
1963年(昭和38年)48号〜52号
1964年(昭和39年)1号〜2号
P.247……人間ミサイル
「週刊少年マガジン」講談社
1964年(昭和39年)3・4合併号〜11号
「光線兵器レーザー」
美しい科学者が復讐鬼と化す!太陽の一億倍の熱を放射しあらゆる物
を溶かしてしまう光線兵器“レーザー”を開発した水沢博士は、国際
スパイに夫を殺害された恨みをはらすべく、レーザーを提供したギャ
ング団を利用し復讐を企てる。
「超人サイバー」
8マンVS8マン!全人類の奴隷化を目論む世界最大の電子頭脳“超人
サイバー”は8マンのボディを調べ上げ、五人のクローン8マンを産
み出してしまった。果たして8マンは暴走する狂気の電脳を食い止め
ることができるのか。
「人間ミサイル」
8マン宇宙へ!地球上ならどこへでも30分以内で行ける高性能旅客機
“人間ミサイル”の設計図が何者かによって盗まれてしまった。施設
内にスパイがいると睨んだ8マンは調査に乗り出すのだった。エスカ
レートする妨害工作を背後で操る組織とは!?
・水沢博士
・国際スパイミューラー
・5人のクローン8マン
・星製作所の社長
・少年パイロットの正
昭和38年はテレビアニメ元年ともロボットアニメ元年とも呼ばれている。1月に日本初の連続アニメ『鉄腕アトム』がスタートし、10月は同じく『鉄人28号』、11月に『エイトマン』というタイプの異なる3作品の放映が始まったからである。先行する『鉄腕アトム』は光文社の月刊「少年」で10年以上連載が続く大ヒット漫画。二番手の『鉄人28号』も同誌に7年に渡って連載中の人気作品だった。どちらもアニメに先駆けてテレビの実写版が制作されている。一方、最後発の『エイトマン』は講談社の週刊少年マガジンで、わずか半年前に連載が始まった『8マン』が原作である。
ロボット探偵まんが(当時の表記)『8マン』の誕生には月刊漫画誌全盛の時代にあって、いち早く週刊化に踏み切った少年マガジンの事情が関係している。少年マガジンは苦戦する部数を伸ばすため、ライバル「少年」の二枚看板である『鉄腕アトム』『鉄人28号』をターゲットに、新たなロボット漫画の連載を模索していた。少年マガジンは昭和34年の創刊時も巨大ロボットが活躍する『13号発進せよ』で勝負に出たが、『鉄人28号』を意識しすぎたネーミングや設定が仇になって失敗した。『8マン』の連載はそのリベンジだった。
少年マガジンが目指したのはヒューマニズム溢れる『鉄腕アトム』でも、ひたすら暴れまくるバトルマシンの『鉄人28号』でもなく、今までに誰も見たことのないオリジナルのロボット漫画である。そのためには新たな才能の発掘が必要と感じた編集部は、ストーリーの作り手と漫画の描き手をそれぞれオーディションで決めることにした。後に伝説の編集長と呼ばれる内田勝氏などスタッフが選んだのは、原作者に新進のSF作家で24歳の平井和正、漫画家は『月光仮面』『まぼろし探偵』のヒットで知られる桑田次郎という二人の異才だった。東京警視庁捜査一課の刑事は全部で49人。7人ずつ7つの班を作っている。8マンはそのどこにも入らない8番目の刑事――。昭和38年の少年マガジン20号で連載の始まった『8マン』は、読者は最初こそ主人公がスーツを着こなす大人であることに驚いたが、超高速で疾走する鋼鉄のスーパーロボットの活躍に魅了されるまで時間は掛からなかった。
本格派のSFファンが読んでも十分に満足できる平井和正の濃密なストーリーに、アメコミ風のシャープなタッチに進化した桑田次郎のペンが生命を吹き込んでいく。『8マン』はそれまでの単純なロボット漫画と異なり、難事件の解決や活劇の面白さに加え、主人公の抱える悲しみがドラマとしての深みを与えていた。私立探偵の東八郎=8マンの正体は、殉職した刑事の記憶を電子頭脳に移した一種のサイボーグ。そのため食事を楽しむことも恋をすることも許されず、二度と生身の人間に戻れないという悲哀を抱えて生きなければならない。8マンが苦悩するヒーローと呼ばれるゆえんである。
順調に読者を増やし評価を高めつつあった『8マン』に、在京キー局のTBSからアニメ化の話が持ち込まれたのは連載開始2カ月後のことだった。あまりに早すぎる申し込みに少年マガジンが戸惑いを隠せなかったのは当然である。フジテレビ系で放映中の『鉄腕アトム』が高視聴率をキープしていたため、TBSとしては指をくわえて見ているわけにもいかず、同じようなロボットアニメを確保する必要性に迫られていたのである。その原作漫画に白刃の矢が立ったのが『8マン』だった。 TBSの意向でタイトルを『エイトマン』に変更したアニメは、原作者の平井和正が作家仲間を招集して脚本を担当することになった。豊田有恒、半村良、加納一朗、桂真佐喜(辻真先)……。後にSF作家や脚本家として活躍する面々が顔を揃えている。実際のアニメ制作は桑田次郎の監修のもとテレビCMを得意とするTCJ(後のエイケン)に決まった。第1回放映の11月7日まで綱渡りのスケジュールが続いたが、一旦幕を開けると超高速のエイトマンそのままに視聴率はハイスピードで駆け上がり、『鉄腕アトム』を超えることも珍しくかった。マエタケこと前田武彦作詞のテーマソングとともに、翌年開通予定の新幹線を追い越していくオープニングは未だに人々の記憶に刻み込まれている。
今回の『8マン』全5巻は真の完全復刊を目指し、週刊少年マガジン連載の本編と、兄弟誌の別冊少年マガジンに掲載した読み切りなどを網羅した文字通りの決定盤である。さらに最終回は初めて2つのバージョンを併録した。実は『8マン』には2つの最終回が存在する。ひとつは昭和40年2月に桑田次郎が拳銃不法所持事件で逮捕されたため、当時のアシスタントが代筆した少年マガジン版である。もうひとつは後に桑田次郎本人が描き直したリライト版。2つを見比べてみるのも一興だ。 同時に平井和正の小説ファンで『8マン』を知らない世代にもお奨めしたい。なぜなら『8マン』は平井和正にとって作家としての出発点であり、後の大ヒットシリーズ『ウルフガイ』や『幻魔大戦』につながるルーツ的作品だからだ。鋼鉄の身体を手に入れながらも人間だった頃の感情が捨てられない8マンの悲哀を巧みに描くところなど、稀代のストーリーテラーとしてSF文学の頂点に立った才能の片鱗が見え隠れしている。
<読本収録内容>
1.平井和正8マン解説
2.小説版「魔人コズマ最終回」
3.桑田次郎インタビュー
4.鷺巣政安(エイトマンプロデューサー)インタビュー
<化粧箱仕様>
1.全5巻と特典の読本を収納可能
2.桑田先生の美麗イラストをフルカラーでレイアウト
<マンガショップから直接お買い上げの場合>
商品発送時に特典をお付けしてお届けします。
<書店からお買い上げの場合>
各巻最終ページにある応募キーワード5つ全てを、第1巻に封入
されている専用ハガキに記入してご郵送ください。
※画像はイメージです。特典の内容・デザインは予告なく
変更となる場合がございます。
ISBN 9784775914397
平井和正/坂口尚 マンガショップ
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